この村を訪れた理由は、もう一つある。
それは、昨年亡くなられた女優・市原悦子さんの遺作となった映画「しゃぼん玉」の舞台となったところだからだ。
(2016年5月号、椎葉村の広報誌『public relations of SHIIBA』より)
この作品の原作は乃南アサの同名のベストセラー小説。
【映画のストーリー】
親の愛情を知らずに育ち、女性や老人だけを狙った通り魔や強盗傷害を繰り返してきた伊豆見翔人(林遣都)。 人を刺し、逃亡途中に迷い込んだ宮崎県の山深い椎葉村で怪我をした老婆スマ(市原悦子)を 助けたことがきっかけで、 彼女の家に寝泊まりするようになった。初めは金を盗んで逃げるつもりだったが、 伊豆見をスマの孫だと勘違いした村の人々に世話を焼かれ、 山仕事や祭りの準備を手伝わされるうちに、 伊豆見の荒んだ心に少しづつ変化が訪れた。 そして10年ぶりに村に帰ってきた美知(藤井美菜)との, 出会いから、自分が犯した罪を自覚し始める。 「今まで諦めていた人生をやり直したい」 ――決意を秘めた伊豆見は、どこへ向かうのか…。
(映画「しゃぼん玉」公式ホームページより)
http://www.shabondama.jp/ ← ※ここで、予告も視聴可。
この映画の画面いっぱいに広がる風景の中に身を置いてみたくなり、イレギュラーながら、再度、宮崎県内へと戻ることになったという次第。
というわけで、ここからは映画「しゃぼん玉」のロケ地、椎葉村を訪ねる街ブラということで。
博物館の隣には、那須大八郎宗久が平家のために勧請したとされる椎葉厳島神社がある。
神社の隣には、立派な土俵がある。
映画のロケとは関係ないが、これは、元貴乃花親方の元おかみさんの景子さんが宮崎県出身で、その御縁で立派な土俵がここに作られ、貴乃花部屋一門が椎葉に来て、地元の力士と稽古をし、共に汗を流していたという。
貴乃花親方の色紙は、これまでも日本国内で何度か見かけている。
どこにおいても、レジャーや遊び、レストランといった場所ではない。
相撲の合宿をしたり、稽古をしたという記録や写真が残されていた。
気のせいかもしれないか、こんな親方、今のところ、彼の他には見受けられない。
次に、鶴富姫の家と伝えられる那須家の住宅「鶴富屋敷」を見学する。
ここも、直接ロケでは使われてはいないが、平家まつりで街並みを映せば、必ず映り込むであろう場所である。
入り口に立つのは、伝説の主人公、那須大八郎と鶴富姫。
およそ300年前に建てられ、国の指定重要文化財となっている。
台所の奥にある家具は、堂々たる風格を感じさせる芸術品のよう。
どっしりとした、重量感のある天井。
囲炉裏に掛かった竹細工も、洗練されていてシルエットが美しい。
作り付けの神棚も仏壇も、見事な輝きを見せている。
建物の優美さ、重厚さに圧倒されている我々の隣で、「いやぁ〜、すごいね〜‼︎ ここまで来た甲斐があったわ」と、しきりに感心している男性がいる。
次第に、打ち解けてきて、ポツリ、ポツリと会話を交わし始める。
すると、この男性、なんと、先日五木村の温泉で、Yの近くで話をされていた方で、Uさんという。
風呂場の中で、ある男性が別の男性に「去年は自転車で屋久島まで行ってきた」と話していて、ご年配なのに、もの凄い体力!と驚きながら、Yはその話を聞いていた。
そのことは、Yのみやげ話としてKにも伝わっており、Uさんが「自転車屋さんで、自転車乗り。去年は〇〇まで……」といいかけたところで、「もしかしてッ⁉︎」ということになった。
Uさんは、今回、KY夫婦が気に入った奄美大島の隣にある痩せたイギリスのような形をした加計呂麻島で、知り合いになった黒糖製造農家を訪ね、サトウキビを引くお手伝いをする予定で旅に出てきたのだという。
あの島の一体どこに、そんな農家の方がいらしたのか?
何でも、その砂糖が100%天然の絶品黒糖なのだそうである。
我々が、平家の里まで足を延ばしたことを告げると、「へぇ〜、よくまあ、キャンピングカーで、あんな道を通ったねぇ。通れたぁ⁈」と感心されてしまった。
いやいや、こちらも、そんな道だと知っていたら行かなかったわけで。
話も弾み、楽しいひと時を過ごさせていただいた。
これからUさんは、我々が先日行ってきた、日本一の古墳群のある西都市へ向かうというので、Uさんと旅の無事を祈り、エールの交換。
広島で自転車屋さんを営んでいらっしゃるというので、広島を通る時顔を出してみたいと思う。
Uさんと別れた一行は、椎葉銀座を街ブラ。
この通りは、「平家まつり」の行列が通るメインストリート。
とはいっても、100mほどの小ぶりな商店街。
この辺りは、映画「しゃぼん玉」でも、重要な舞台となった場所でもある。
同じ場所とは思えないが、平家まつりの期間中の撮影とあって、映画の画面の中では賑やかな公園のように映っていたが。
主人公の伊豆見と美和が立つ、斜め後ろあたりにKが座ってみた。
平家まつりの華やかさはないが、静かな日常の世界での映画のロケ地散策を堪能したところで、一行は南阿蘇方面へと向かうことに。
椎葉村からは、来た道とは違う道を行くことにし、国道327号と国道503号を経由することに決める。 といっても、どんな道かは皆目見当も付かない。
村の名所「仙人の棚田」の近くを通ったが、棚田までの道は細くて険しいということで、この車での侵入は危険視され、今回は断念。
(宮崎観光のHPより、転載)
その近くには、映画の中で市原悦子さんが住んでいた眺めの良い家もあるらしいのだが……。
今回、一番見たかったのは、その辺りの美しい映像の中にあった世界。
残念ながら、この車では近づくことが出来なかったので、次は、もっと小回りの効く車で出直そう。
さて、車はというと、少し距離は長くなってもいいから、広めの道をと選んだつもりが、なぜかどんどんと細くなり、おまけに山を登り続けるという最悪のパターン。
途中、景色の良いところもあったりしたのだが……。
山越えするにも程がある。
例のごとく、糸こんにゃくを辿るように道を進み、山頂に到達したかと思った頃、いきなり靄がかかり始め、視界を遮る。
ナビが道の曲がり具合を予め教えてくれるからいいものの、これまで経験したことのない程の、物凄くハードな山道だった。
そして、ようやく車は、南阿蘇の国立公園エリアに。
辿り着いたのは、阿蘇の山を背景に大パノラマが広がる、道の駅「あそ望の郷くぎの」。
この辺りまで来ると、さすがにキャンピングカーも多い。
ここは、大自然のレジャーランドいった趣。
⭐️おすすめの道の駅認定⭐️ 道の駅「あそ望の郷くぎの」
明日は天気も回復しそうなので、清々しい朝を迎えられることだろう。
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