今日は体育の日。休日とあって人出も予想され、早々に「道の駅 たまかわ」をあとにし、三春町に向かう。
目的地は、三春町歴史民俗資料館。三春町は自由民権運動の闘士・河野広中の生誕地であり、自由民権運動に関する展示が充実していると訪問者のブログで知り、是非とも訪ねてみたくなった。
郡山市街を通らず、県道54号をくねくねと北上する。のどかな旧街道といっ た風情。国道よりも県道を走った方が楽しい。三春町のメインストリート・おまつり道路は、古い街並みの雰囲気を残すよう整備されている。
町役場のとなりの駐車場に停め、資料館のほうに上っていくと、「自由民権発祥の碑」、
隣り合わせに、河野広中の立派な銅像がある。
坂を登って、小高い丘の上にある三春町歴史民俗資料館に入る。
資料館では、まず初めに恒例のビデオ鑑賞。三春町に関するビデオを1時間近く見る。
三春町の名前の由来は「梅・桃・桜」の3つの春の花であり、大きなしだれ桜が観光名所となっている。
(みはる観光協会ホームページより)
三春は、「東北の鎌倉」の呼称があるほど、由緒ある寺院が街を取り囲み、長い歴史を誇っている。
五街道といって、会津や江戸、仙台など5方向に街道が伸びる交通の要衝で、生糸の生産・流通を始め、江戸時代には商業の発達により栄えた。
伊達政宗の正室(愛姫)は、当時の領主、田村氏から嫁いでいる。
坂上田村麻呂の蝦夷征伐では、蝦夷との激戦が繰り広げられたところで、古くから馬の生産が盛んであり、馬を大切にする風習から、「三春駒(子育木馬)」という民芸品も生まれている。
ビデオを撮影した1960年代には、街には各種の職人達がいて、生活に関わる様々なものを手作業で作り出していた。40種あまりと言われたそれらの職人も高齢化し、今はほとんど見られないという。
明治の自由民権運動において、板垣退助と並び称された河野広中は、ここ三春町の出身であり、郷土の英雄なのである。
展示品は、kYお気に入りの土偶をはじめ、
養蚕や生活用具、戦国大名・田村氏や三春藩主・秋田氏に関するもの、戊辰戦争との関わりや、三春で生涯を閉じた江戸期の画家・雪村についてものなどがあるが、変わったところでは、三春出身の登山家・田部井淳子の登山用具や日記などがある。
国会開設と憲法制定などを求めた明治の自由民権運動に関する展示は、別室の「自由民権記念館」で見ることができる。
旧三春藩士であった河野広中は、幕府側の奥羽列藩同盟と新政府軍との間で生き残りをはかる小藩・三春藩において、下級藩士でありながら新政府軍・板垣退助との交渉に関わっていたことを初めて知った。
戊辰戦争の勃発から、早い段階で新政府軍に寝返った三春藩は、その後新政府軍と共に、隣接する二本松藩や会津藩を攻撃する。その道案内を務めたのが河野広中、その人であった。
結果として、三春の城下は戦火を免れ、二本松や会津は非戦闘員も含めて多くの犠牲者を出した。
二本松藩は負け戦を知りながら徹底抗戦し、藩士のほぼ全てが戦死したとされている。
二本松では「三春から嫁をとるな」と、その後言われ続けているらしい。
「会津猪 仙台むじな 三春狐に騙された 二本松まるで了見違い棒」
この狂歌(戯れ唄)の真意ぞ如何に。
明治に入ると、河野は三春に政治結社「三師社」を結成、自由民権運動の青年活動家を養成すべく、学塾「正道館」を創設し、数多くの運動家を育てた。
また、関東・東北地方では例のない政治雑誌「三陽雑誌」を発行している。
こうして三春は、東北地方最大の自由民権運動の中心となり、日本最初の政党・自由党の活動にも深く関わっている。
河野らのこうした動きは、明治政府の力を背景とした当時の県令・三島通庸の大弾圧を受けることになる。
河野が議長を務めた福島県議会と三島県令との対立、三島が強行した土木工事に対する反抗(喜多方事件)を契機とした運動家への大弾圧(福島事件)や、福島事件を契機として三島の暗殺を計画して挫折した加波山事件(河野の甥が参加)などに関する文書などを見ることができた。
資料館を出て、観光案内所でもらったイラストマップを片手に周辺を散歩。
文化伝承館は、この町で一代で財を成した吉田誠次郎という商人の邸宅。建築雑誌に掲載されるほどの立派な日本邸宅である。
豊臣の落人との伝説もあるらしい。
屋敷脇の坂の上には紫雲寺があり、
境内には、河野広中の遺髪を納めた塚があった。
次に、ここから5kmほど郡山方面に走ったところにある「デコ屋敷」に行く。
ここには、三春の名産である三春駒や三春人形(張り子)を製造している工房が集まっている。
張り子の製作工房。
この型に、紙を貼り合わせていく。
干支やダルマ、招き猫に赤べこなど種類も豊富。
動きがある三春人形は、人気が高い。
集落の中ほどにある「彦治民芸」で、三春駒の彩色体験をすることに。
三春駒には大小様々なサイズがあるが、手頃なサイズの2.5寸を選択。塗料を発泡スチロールのトレイに入れて、太さの異なる小筆で塗っていくのだが、見本通りに塗ってもいいし、好きな模様でも構わない。
見本通りに塗り始めるのだが作業は難航。老眼で手元が覚束ないのである。
色が重なるところは、まず下の色を塗って、乾くまで別の場所を塗る。尻尾の毛の部分を持つと手に塗料が付かず塗りやすいことを発見したY。
嬉々としてお店の女主人にその事を告げるが、実際の売り物は最後に植毛されるので、持ち手の為ではないとアッサリ却下され、凹む😖。
1時間かからない程度で、なんとか彩色を終える。線が所どころ震えており、別途購入した売り物の三春駒と比べると違いは一目瞭然である。
左がプロ、右がYの手による。
ともあれ、料金800円で結構真剣に楽しめた。
今日もまた、閉店ギリギリまで粘ってしまった。
夕暮れの町に車を走らせ、kY一行は二本松市の「道の駅 安達」へ。
ここは国道4号線の上り線と下り線の2つに分かれている珍しい道の駅である。双方に同じ24時間のコンビニが併設されている。
0コメント