2019年1月1日 糸満市→恩納村[琉球村]→豊見城市(84km)


昨晩は大晦日。糸満漁港にある道の駅「いとまん」の、だだっ広い駐車場に車を停め、泡盛のロックを片手にカーナビのテレビで紅白を観る。

ここ数日、大晦日くらいは普通に年越し気分を盛り上げたいということで、紅白が見られる場所、つまりテレビを観せてもらえるところを探していた。

温泉施設の休憩室、24時間スーパーのオープンスペース、カラオケ店、ネットカフェなど、いろいろと候補に上がっていたが、どこも今ひとつ。

半ば諦めかけていたところ、当日の夕方近くになって、ふとカーナビにテレビ機能が付いていたことを思い出す。

速攻でカーナビを地図からテレビ画面に切り替えてみると、あらあら、確かにNHKが映るではありませんかっ‼︎

この車に乗り始めて半年以上経って、始めて車内でテレビを観たKY夫婦。

沖縄の地で、初めてヒット曲「USA」を紅白で観るという、貴重な経験をさせて頂きました。


△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△


そして迎えた2019年元旦。

正月も初日ということで、那覇から北に一時間ほど走った恩納村にある沖縄伝統文化のテーマパーク「琉球村」で過ごすことに。

途中、普天間基地(宜野湾市)や、嘉手納基地(嘉手納町)の脇の道を通過。
基地周辺は寂れた雰囲気のシャッター街となっていて呆気にとられる。

クリスマス休暇に合わせて店を閉めているところもあるのかもしれないが、その辺りで見かけた基地関係者とおぼしき人は、ほんの数人。基地入り口に飾られているクリスマスツリーも、今ひとつ華やかさに欠け、心なしか寂しげだった。

そうこうしているうちに、車は琉球村の駐車場に到着する。

停めてある車は大半が沖縄ナンバーなのだが、よく見ると多くが「れ」と「わ」ナンバー。これはレンタカーなので、ここにいるのは我々も含めて県外や海外からの旅行者がほとんどということになる。




ここ琉球村には、200年ほどの歴史のある伝統家屋が、県内各地から多く移築されているという。
そういえば、沖縄に来てから10日以上が過ぎ、南部から北部のやんばる地方まで走ってみたが、これまで車窓から沖縄の伝統的な街並みや家屋を見かけることは少なかった。

さっそくチケットを購入し、琉球村の入り口から中に入る。

外には入場無料のエリアがあり、物産館やレストラン、ステージがあるが、一回チケットを買えば、有料エリアには何度も入ることができる。

これらの伝統的家屋の一部や外の入場無料のエリアでは、琉球織やシーサーの絵付けなどの体験ができるほか、伝統的衣装を着て村内を歩けるようになっている。

このあたりのサービスは、前に行った日光江戸村と同じだ。



敷地内には、沖縄らしいトロピカルな植物が所々に植えられている。


とりわけ目を引いたのが、この化粧のパフのようなホワホワした形の紅い花。
これは「オオベニゴウカン(大紅合歓)」というマメ科の植物だ。
大甕の水の中に浮いていると、真っ赤なマリモのようだった。

横に広く枝を広げる大木に設えられた小屋は「キジムナーの家」


キジムナーとは沖縄の伝説上の妖怪だが、人間臭く親しみやすいそうだ。


キジムナーは、村のキャラクターになっていて、村内至る所に出現する。


国登録有形文化財である「旧島袋家(1861年建築)」をはじめとする伝統家屋は、赤い瓦の間をセメントで固定し、沖縄の有名な暴風雨に耐えられるようになっている。

ほとんど外壁がなく開けっ広げの造りで、雨戸のようなものがある。

沖縄は寒さは無いが、風と湿気に対して主に考慮された建築といえる。

「旧島袋家住宅高倉(1888年建築)」は伝統的な倉庫だが、日本の古代に見られる高床式倉庫に似ているが、形が違う。


この屋根の部分が収納庫となっているのだ。


琉球村では、ほかにも琉球舞踊などのショーを観ることができる。

プログラムはどれも10-20分ほどの短いものだが、村内の数ヶ所で毎日数回行われており、それら全部を回っていると3時間ほどすぐに過ぎてしまう。


最初に「きじむなあ劇場」で観たのが「エイサーショー」


太鼓を担いだ3人の男性による勇壮な踊り。と思って観ていたら、一番キレの良いバチさばきだったのがなんと凛々しい女性だった。 


最後に皆で踊りましょうということで、両手を上にあげて左右に振る「カチャーシー踊り」を楽しむ。


次に、「ちゃんぷるー劇場」「琉球舞踊ショー」を観る。
これは正月休みの特別プログラムであり、我々はこれを目当てに来た訳だ。

地元・沖縄県立芸術大学大学院の卒業生で構成された6人組グループ「六花(むつのはな)」が、太鼓や笛、三味線に合わせて伝統古典舞踊や創作舞踊を披露する。

琉球舞踊は初めて観たが、30分ほどのショーの最初に女性3人が袖から舞台に出てくる様子が、能を思わせるような厳粛さで息を飲む。


ゆっくりとしたテンポで舞いながら、口元には微かに笑みを浮かべているのが印象的だ。

男性2人の踊りは、伝統的な漁をイメージしているもので、櫂を操り波間を行く小舟や網を手繰る様子を生き生きと表現している。

動作が時折武術を思わせるのは、琉球が発祥の地である空手(唐手)の影響があるからだろう。



そして、最後に再び、視聴者参加型の「カチャーシー踊り」を楽しむ。




テーブル席で一息ついて、次は「旧西石垣家」で民族舞踊を観賞。

琉球の娘と役人の恋物語と、もう一つは父との別れを悲しむ娘の話だったか、2曲を観た。



最後は「園内中央広場」での、琉球王朝の伝統的なパレードを再現したショー。


国王と王妃を先頭に、厳かに演者が登場し、彼らの御前で民族舞踊や棒術が披露される。


そういえば、このパターンはモンゴルでもあったなぁ。

中でも大きな喝采を浴びたのが「獅子舞」

まるで本物のように生き生きと歩く獅子と、獅子を連れた「ワクヤー(獅子使い)」によって演じられる。

ワクヤーが投げた鞠を、獅子が器用に口にくわえる。
観客から選ばれた女の子が鞠投げにトライ。小さな子供なので鞠は高くは上がらなかったが、獅子は見事にキャッチ。



ラストは、また観客も参加してのカチャーシー踊りである。



踊りの輪は、しだいに膨れ上がり全員参加の大賑わいに。

いつのまにか踊りの輪の中に、一升瓶を頭に乗せた「おばあ」が現れ、にこやかにカチャーシーを踊っている。


私達が追い求めていた「沖縄」が、そこにあった。




帰り際、広場から出口まで向かう道中で、サトウキビの製糖作業をしている様子を見学。


風変わりなシーサーなども、所々に配置されている。

シーサーの起源は、なんと古代オリエント。スフィンクス繋がりだとは知らなかった。

こうして楽しく半日を過ごし、島の南側にある道の駅「豊崎」へ。

道の駅の手前で偶然見つけた島野菜ビュッフェの店に立ち寄り、晩御飯。


この店では店内で野菜を育て、座席を仕切る壁代りに使用していて、なかなかオシャレな空間となっている。やはりここでも、主流派はアジア系外国であった。

今、沖縄の経済は、各地から訪れる観光客に支えられているという実感が湧いた一日であった。

キャンピングカーで日本一周

キャンピングカーで日本一周の旅に出ています。夫婦二人、各地の歴史や文化、暮らし方を学びながら旅しています。

0コメント

  • 1000 / 1000