10月27日 燕市→見附市[見附市大凧伝承館](18km)


今朝の天候は今ひとつ。
今日は、休養兼移動日ということで、午前中は車でパソコン作業をし、午後から長岡方面へと向かう。

燕市の市街地を遠くに臨みながら、ひたすら田園風景の続く一直線の道を走り抜ける。


途中で昼食を挟み、3時を回ったあたりで、見附市の道の駅パティオにいがたへ到着。

ここが明日の長岡観光の拠点となる。

まだ時間が早いので、できる限り建物から離れた遠くのエリアに陣をしく。

まだ陽が高いので、何かこの付近に見所はないものかと、道の駅館内の観光案内所で資料をもらい、車に持ち帰ってコーヒーを入れて、しばし作戦会議。

すると、このすぐ近く、歩いて2、3分のところに「見附市大凧伝承館」(入館無料)がある事がわかり、さっそく見学することに。


車を停めている少し高台にある駐車場所から、近くの下り階段を20段ほど降りると、すぐ目の前に黒塗りの瀟洒な建物が現れた。

表に飾られた大凧を見て、
 「そういえば、ここの大凧合戦は有名だ。ニュースで見た事がある」とY。

中に入ると男性が何やら凧作りの作業をしており、

奥の小さな体育館風の部屋には、大小様々な凧が、いくつも飾ってあるのが見える。カラフルな柄の「祭りの法被(はっぴ)」も展示しており、サッカーのユニフォームの様でカッコいい。

大凧のサイズは縦4.3m横3.3mで、畳約8畳分の大きさ。
大空に映えそうな美人画や、

これぞ合戰、というような武者絵、

子供たちが描いた、可愛らしい花の絵柄もあり、地域の人達がそれぞれ思い思いに、この祭りに関わり、楽しんで参加している様子が伺える。

ここ見附・今町地区の大凧の歴史は、今から300年以上昔に遡る。

ある信濃の紙商人が、たまたま端午の節句の時期に、この地(見附市今町地区)に立ち寄り、大凧を作って刈谷田川堤防上で揚げたのが始まり。

その後、1783年に刈谷田川改修が行われた際、修築した堤防を踏み固める方法として、今日のような大凧合戦が考案され、次第に年中行事のように発展してきたとのことだ。

正式には、「見附今町・長岡中之島大凧合戦」といって、右岸の見附市と左岸の長岡市が、毎年6月の3日間、刈谷田川両岸で熱い戦いを繰り広げる。


凧が揚がる前に糸を絡め、低空で一方の糸が切れるまで力の限り引き合う「地絡め」は、文字通りの激しい空中戦となる。

「越後今町 男の盛り 凧のいくさは 意気でやる」と、凧民謡の歌詞に登場するほど、本気の合戦だ。


大凧は時代と共に進化を遂げ、より強く軽くなっているという。

昔は和紙を張り合わせただけだったが、その後改良が施され、強度を上げるために縦横に補強の繊維が貼られている。

凧糸は、登山で用いるザイルのようなしっかりとしたロープだ。
太さ10mm長さ200mで、凧糸だけで重さが13kgもある。

大凧の中心には、竹でできた心棒が取り付けられる。
心棒を持ってきてくれたので、持たせていただく。竹なのに結構軽い。

大凧から心棒を外すと、くるくる巻いて持ち運びもしやすくなるという仕掛けだ。

巻かれた凧を持ち上げてみると、やはり思った以上に軽かった。


大凧合戦では、「キャラ」という滑車に棒がついた独特の道具に凧糸を通し、30〜50人で引っ張る。
キャラを使うことにより、凧糸が直角に曲がるので、狭い堤防上でも力一杯引くことができるらしい。

キャラで、使用される滑車。中のベアリングは、開始当初すべて木製であったそうだ。


合戦の中継録画ビデオが流れていたので、鑑賞しながらお話を伺う。

ひと度合戰に参加した大凧は、ボロボロになってしまう。

この会館で飾られている大凧も、1、2年の間ここで飾られた後、初めて合戦の場へと登場し、どちらか一方の凧が地面に落ちるまで戦いは続き、満身創痍となって役目を終えるのだという。

そんな大凧が市内各所で次々と制作され、展示されて初陣の時を待っているというわけだ。

しばらく映像を眺めていると、合戦に参加しているのが、すべて男性であることに気づいたK。

「女性がいませんねぇ」と言うと、「そうなんですよ〜。合戰というだけに、これは男の祭りと言われているんでねぇ」と案内係の女性の方が、仕切りに頷きながら、語気を強くしておっしゃる。   

幼い頃、父の作った凧を兄弟姉妹全員で代わる代わる糸を持ち、見えなくなるまで空高く揚げていた日々を想い出す、とK。

これだけ町をあげて大掛かりに行うお祭りであるだけに、女性も参加したいと思っているに違いないと思うのだが、まだそういった声が女性の中から強く上がってはいない、という事だった。


係の方お二人が、丁寧に説明してくださり、最後にお土産までいただいてしまった。 
可愛い一輪挿しとミニ凧。一輪挿しは、車の中なので、水を入れたり、花一輪だけの購入がなかなか難しく、造花でもいいから飾ってみたい。

凧は、絵を描いて飾りたいと思っている。

「見附市大凧伝承館」の皆様、楽しいひと時と、想い出の品を有難うございました!



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