昨夜は、長島の道の駅「黒之瀬戸だんだん市場」に車を停めていたが、一昨日以上に風が強く、夜中に二人飛び起き、慌てて車の向きを変えた。
長島は風の通り道。
昨晩KY夫婦が選んだ道の駅は、長島と九州本土とを結ぶ橋の端。
つまり、最も風が通りやすい位置にある。
長島と九州本土の間の海上を、風が走り抜けてゆくのであった。
真っ暗闇の中、移動したが間違いだった。
朝になり、よくよく見ると、
車を停めた、そのわずか10mほど先は断崖絶壁。
そこはまさに、その風の通り道。
夜になって、わざわざ強風に煽られに来るなんて……。
轟音と揺れで、ほとんど眠れなかったが、そうして迎えた朝の景色は素晴らしかった。
素晴らしいといえば、長島は地元でも「刺身が旨い」ことで有名。
昨日は、道の駅「長島」のレストランで、美味しいランチをいただいた。
ブリ、カンパチ、タイの漬け丼定食に、ブリ、ヒラメ、タイ、シマアジの刺身をサイドオーダー。
二人それぞれ定食を食べて、刺身をシェア。
このクオリティーで、2,000円でお釣りがくるとは‼︎
これだけでも、わざわざ長島まで来た甲斐があったというもの。
ありがとう‼︎ 長島‼︎
と納得したところで、今日は、長島から橋を渡って九州本土へと戻る。
最初に、出水市の「出水麓歴史館」を見学することに。
出水麓は、薩摩藩の「外城」と呼ばれた地方支配の拠点の一つ。
鹿児島の城下以外に、地方の政務や警護を担う武士の住居と陣地を兼ねた中心地は「麓」と呼ばれ、薩摩藩内には、約100か所存在したと言われている。
その中でも肥後国(熊本県)との国境に近く、防衛上重要な拠点であった出水麓の「外城」は、藩内でも最初に築かれ、規模も最大級。
出水麓武家屋敷群は、約46ha、東京ドーム9個分とも言われている。
薩摩藩は、他藩が5%程度とされる武士の人口割合が、25%ほどと格別に高く、全ての武士を養うことができなかった。
各地の「麓」に配置された武士達には、10石ほどの最低限の扶持が与えられ、あとは農業で自給するという半農半武士の生活が強いられることになったのである。
そんな軍事力を誇る薩摩藩の中においても最強の先鋭部隊と謳われた出水麓の武士団は、「出水兵児(いずみへこ)」と呼ばれ、全国にその名を轟かせたという。
出水兵児には「掟」があった。
出水における郷中教育の掟が、この「出水兵児修養掟」であった。
この掟は、江戸時代初期、名地頭として名を馳せた山田昌巖によって確立されたといわれている。
1629年、山田昌巌は出水外城第三代地頭として、福山から赴任。
28年間の間、出水で人づくりに尽力。出水兵児の育成に生涯を捧げたという。
彼に関するエピソードを二つ。
クイズ形式になっているので、□の中に入るものを、想像してみよう。
さて、正解。下の写真の左の椀が「第一の椀」、右が「第二の椀」である。
この一件で、山田昌巌は一目置かれるようになったというから、このお方、只者ではない。
昌巌は、武術強化訓練の為、「児請(ちごもうし)」という制度を設けている。
こうして培われた武術の中に、薩摩直伝の「日置流秘伝」がある。
正面から睨みつけられただけでも怖いのに、
低姿勢から、素早く弓を射続ける。
演武の映像を見たが、整然ともの凄いスピードで矢が射られるのには驚かされた。
しかも、秩序立った編成の集団が、一糸乱れず矢を射続けながら前進してくる。
彼らに狙われたら、まず助からないだろう。ブルブル😱
館内には、他にも武具などの展示や、
敵の襲来を想定して造られた武家屋敷の特徴を説明する展示もある。
展示には、遊び心もあり、KY夫婦は「薩摩藩の外城パズル」にハマってしまい、
最後まで、完成させてしまった。
会館を後にし、一行は国の重要伝統的建造物群保存地区選定の武家屋敷見学へと向かうことに。
150戸あるという武家屋敷群は、現在でもそのほとんどが住居として活用されており、住まう人々の息遣いが感じられる。
そのうちの二軒が一般公開されており、まずは「竹添邸」から拝見する。
ここは上級武士の屋敷で、門前が大河ドラマ『篤姫』のロケ地となったそうである。
この屋敷は、客間以外にも高級塗装である、紅い「ベンガラ」が施されているという。
上級武士の屋敷たる所以だそうな。
もう一軒は、「税所邸」。
ここは、いきなり玄関に弓道具が置かれていて呆気にとられる。
なんと、雨の日でも座敷で弓の稽古が出来るような仕掛けになっていた‼︎
また、囲炉の縁にある板を外すと屋外に抜けられるように掘られた抜け道があり、武家の屋敷らしい仕掛けが満載。
どちらの屋敷も、ガイドさんがいらして、わかりやすく説明をしてくださる。
当時の生活の様子が伺えて、なかなか面白かった。
武家屋敷は生活の場でもあるので、石垣に挟まれた通りを、幼稚園児が列をなして歩いていたして、こちらも楽しい気分になる。
道端では、こんな小粋なマンホールの蓋が。
入場料500円で歴史館と武家屋敷が見られるのは悪くない。
しかも、一度料金を払うと一年間フリーパスとなるという。
足繁く通うリピーターもいるということか。
近くに住んでいたら、武術の稽古がてら通ってしまうかもしれないと思うKYであった。
0コメント