1月5,6日 東村[山と水の生活博物館]→辺戸岬→国頭村(87km)②


奥やんばる食堂から沖縄本島最北端「辺戸岬」までは、車で10分ほど。

何もない草むらの小径を道標を頼りに進んでゆくと、駐車場が現れる。


入り口付近には、米軍関係者向けの看板が。米軍統治時代の名残であろうか。

ここは太平洋と東シナ海に面する絶景スポット。

晴れた日には、サンゴ質のデコボコで切り立った絶壁から、鹿児島県の与論島、沖永良部島や、沖縄県の伊平屋島、伊是名島が一望できる。


この地には、いくつかの石碑が存在する。

最北端の岸壁近くにそびえ立つのは「祖国復帰闘争碑」


この碑は、本土復帰の喜びや、勝利を記念するためのものではない。

沖縄は、第二次大戦敗戦直後の1945年から1972年までの27年間、アメリカの軍政下にあった。

沖縄の人たちは「沖縄県祖国復帰協議会」を組織し、本土復帰を願い闘った。

この碑は、その闘いを振り返り、決意を新たにするためのものだ。


以下、全文。

全国の そして世界の友人へ贈る 

吹き渡る風の音に 耳を傾けよ
権力に抗し 復帰をなしとげた 大衆の乾杯の声だ
打ち寄せる 波濤の響きを聞け
戦争を拒み 平和と人間解放を闘う大衆の雄叫びだ
鉄の暴風やみ 平和の訪れを信じた沖縄県民は
米軍占領に引き続き 一九五二年四月二十八日
サンフランシスコ「平和」条約第三条により
屈辱的な米国支配の鉄鎖に繋がれた
米国支配は傲慢で 県民の自由と人権を蹂躙した
祖国日本は海の彼方に遠く 沖縄県民の声はむなしく消えた
われわれの闘いは 蟷螂の斧に擬せられた
しかし独立と平和を願う世界の人々との連帯であることを信じ
全国民に呼びかけ 全世界の人々に訴えた
見よ 平和にたたずまう宜名真の里から
二十七度線を断つ小舟は船出し
舷々合い寄り 勝利を誓う大海上大会に発展したのだ
今踏まれている土こそ
辺戸区民の真心によって成る沖天の大焚火の大地なのだ
一九七二年五月十五日 沖縄の祖国復帰は実現した
しかし県民の平和への願いは叶えられず
日米国家権力の恣意のまま 軍事強化に逆用された
しかるが故に この碑は
喜びを表明するためにあるのでもなく
まして勝利を記念するためにあるのでもない
闘いをふり返り 大衆が信じ合い
自らの力を確かめ合い 決意を新たにし合うためにこそあり
人類の永遠に存在し
生きとし生けるものが 自然の摂理の下に
行きながらえ得るために 警鐘を鳴らさんとしてある


この碑は、沖縄の本土復帰が実現した4年後、1976年4月に建立されている。

何故、4年後なのか。

それは本土復帰後の沖縄の状況が、沖縄の住民が望んだ形と甚だしく乖離していたからである。

度重なる米兵犯罪、接収されたままの土地、「日米国家権力の恣意のまま 軍事強化に逆用(碑文)」され、住民の訴えは退けられてしまった。

この現実に直面した沖縄県民の平穏な日々を迎えることへの希求、それを得るために闘い続けることを再確認するために、この碑は建立されたのだ。

碑文の全文に目を通すと、住民の憤り、悲しみの深さが、痛いくらいに心に響いてくる。
碑文建立後43年経った今も、何一つ、この状況は変わっていない。


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岬には、他にも、沖縄本島の人々、本土復帰を支持した与論島の人々との友好の証として、「与論島・国頭村友好記念碑」も建てられている。


当時の国境は、海の向こうに見える与論島との間、北緯27度線の海上にあった。
沖縄本島と与論島の人々は、その海上で毎年一度交流集会を開催していたという。



ここは、歴史の重みを感じさせる、本土の人間 必見の地であると思う。

沖縄の犠牲の上に成り立つ平和とは?
日本全体の安全保障のために、やむ得ない選択?
それは沖縄が引き受けなければならない運命なのか?

改めて、目の前にある現実として、本土で暮らす人々は受け止め直す必要があると感じた。


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西海岸を走り南下し、道の駅「ゆいゆい国頭」に着く。

ここは先日も訪れたオクマビーチ近くの道の駅。
このビーチは沖縄リゾートの草分け的存在。
バブル期には、このビーチにあるホテル(当時はJAL所有)が人気だった。 
「JALで行く沖縄」という米米クラブ制作のCMが話題になっていたエリアだ。

現在は、各地でリゾート開発が進み、このエリアは若干、斜陽気味。
とはいっても、この道の駅は北部エリアの休憩地として大活躍中。
屋台風フードコート、レンタサイクルと観光客に優しく、サービスも良い。

Yが、少し前から風邪の症状を訴え始めているので、
明日も、もう一日、この居心地の良い場所で休息させて頂くことになるだろう。

⭐️おすすめの道の駅認定⭐️ 道の駅「ゆいゆい国頭」


キャンピングカーで日本一周

キャンピングカーで日本一周の旅に出ています。夫婦二人、各地の歴史や文化、暮らし方を学びながら旅しています。

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