次に、一行は県道71号を南下し、「富士ヶ嶺公園」へと向かう。
公園がある場所は、旧上九一色村のオウム真理教の道場「サティアン」があった所。
(毎日新聞『オウム真理教事件』より転載)
現在は、その跡地の一部が公園となっている。
目立った標識があるわけでもないので、静岡県に入ったところで行き過ぎたことが分かりUターン。グーグルマップでもう一度場所を確認し、県道を左折して、ナビ上に現れた公園の位置をひたすら目指す。
周囲はなだらかな丘陵地で、ポツポツと人家や畑、工場などがある。しばらくすると前方に小さな屋根と駐車場らしきものが見えはじめ、公園に着いたことが分かる。
公園と言っても、駐車場と休憩所、その奥に慰霊碑があるだけの、殺風景な場所である。
見晴らしも良く、静かではあるが、わざわざ景色を眺めに立ち寄るようなところではない。
ここは、オウム真理教の第一上九と呼ばれ、第2、第3、第5サティアンが置かれていた所であり、最盛期にはサティアン、倉庫群、プレハブ小屋 など30棟以上点在していたとされ、事実上の教団の拠点であったとされている。
また、ここは教団による信者リンチ殺人の現場であった。
現在慰霊碑がある辺りにあった第2サティアンでは、地下室のマイクロウェーブ焼却装置「勝利者」で、その死体を焼却していたという。
亡くなった信者を供養しているとされる慰霊碑だが、その背面には何も刻まれておらず、まだ活けられたばかりと思われる赤い花が、ひつそりと手向けられ、慰霊碑に向かい合う方向に聳える富士山も、今日は雲に隠れていた。
晴れの日、サティアンの真正面に雄大な富士山が姿現す。
(朝日新聞デジタル『現場はいま オウム強制捜査22年』より転載)
霊峰富士、その魔力に魂を奪われ、オウムに洗脳されていった人々。
皆初めは純粋に、真理の実践を目指し、ここで修行を積んでいたのだろう。
つわものどもの夢の跡 …… である。
しばらく、ここに車を停め、ぼんやりと時を過ごす。
今夜は河口湖の湖畔にある道の駅「かつやま」に宿泊する。
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