今日は、佐渡汽船のフェリー「おけさ丸」に乗って佐渡ヶ島へと向かう日。天候はあまりよくない。
早起きし、準備万端 身支度を整え、8時前に新潟港万代島フェリーターミナルに着く。
ところが、Yが急に腹痛をもよおし、船内移動開始直前までターミナルのトイレと車を往復することに。昨日からの気温の変化でお腹を冷やしてしまったのかも知れない。
車列先頭での待機中に運転手不在とは、なんとも心細い。
なんとか入船が始まる直前に、能面のような顔をしたYが座席に戻ったと思ったら、すぐに係員の方が近づいてきて、「どうぞ」と船内の方に誘導される。
前回使用した某フェリーターミナルでの対応とは大違い。
北海道の某フエリーターミナルの誘導係の対応は、まるで軍隊のよう。
常に指示口調である上に、作業工程もずさんで秩序というものが感じられなかった。
おまけに2時間以上早く来て、レーンの前の方に並んでいたのに、理由も告げず私達の車だけいつまでたっても誘導されず、レーンに取り残され、乗船も最後尾となってしまった。
乗船後、船内でフロント経由で問い合せてみて分かったことだが、船内甲板あたりにいた航海士が目視で(双眼鏡を覗き覗きして車の大きさを見ながら)、全くランダムに(テキトーに)入船順位をインカムを通して指示を出し、振り分けていたとのこと。
最後に回されている事に気付いたKが、誘導係に後回しにされる理由を尋ねた時も、「上からの指示で動いているだけなんで」と、これまた憮然とした態度で返された事を思い出す。
(同じ船会社でも、青森の大間側ではスマートな対応だったと思うけど……。)
でも、今回は正反対。
佐渡汽船では最初から係員の方の口調も丁寧で気持ちが良い。車両の登場ラインへの誘導も、「この車は車高が高いので、こちらのラインへお願いします」と断ってから、普通車とは別のラインへと誘導。説明も整然としてしていた。
そして、今回はこの車高が高いレーンから誘導が始まり、なんと先頭にいた私達は一番乗り。当然、船内のスペースは選び放題であった。
2等客室はフリースペース。弱っているYの為にトイレ近くのエリアにスペースを確保する事が出来、非常に助かった。
さらに貸し毛布をゲットして、Yはミノムシのように毛布で身体を包んでご就寝。こうして9時20分ジャスト、定時に「おけさ丸」は新潟港を出航していったのであった。
大人しく横になっていた甲斐もあり、2時間半の航海中に十分身体を休めたY。元気を取り戻し、颯爽と車に乗り込む。
佐渡ヶ島の形は「工」の字のような形をしている。入港中の船の窓からは、「工」の字の下の横棒が徐々に見えてくるといった感じだ。
佐渡の海岸線は200kmを優に超え、総面積は東京23区の約1.5倍に当たる約855平方キロ。島といっても相当大きいので、上陸して車を走らせ海岸線を離れると、特に島という感じはしない。
新旧入り混じってはいるが、この辺りの伝統的な板貼りの木造家屋が目につく。立派な庭園を有する家屋も多く見られ、総じて一昔前の昭和といった、どこか懐かしい雰囲気だ。
フェリーが到着した両津港から5kmほど走ったところに、今夜の宿泊候補地「道の駅 芸能とトキの里」があるということで、トイレ休憩も兼ねて見学に向かうことにする。
道の駅は、道路標識にも大きく表示されているので直ぐにわかった。
道を挟んで、「佐渡本間家能舞台」がある。
佐渡には、かつては200あったとされる能舞台であるが、現在、日本全国の三分の一にあたる30余の能舞台が、この佐渡に存在しているという。
ここでは、毎年7月に定例能が開催されているようだ。
この道の駅は1999年に業務登録され、
ロボットが演じる薪能「道成寺」が見られるという画期的な道の駅として、鳴り物入りで登場した。
なるほど、中庭に こんな像があるのも頷ける。
ロボットの能を是非観てみたいと思いながら、建物入り口の門をくぐろうとすると、「新潟国際芸術学院 佐渡研究院」の看板が目に入る。
建物内には、異様なほど人の気配が無い。
窓から中を覗くと、
雑然とした教室のような部屋があり、
机の上には、初級の日本語教科書が、無造作に置かれていた。
同時期に訪れた人達も、一様に首を傾げている。
不思議に思い、すぐにネット検索してみると……なんと、現在、この道の駅は「学校」兼、「美術館」となっていた。
一階にあるらしい有料(500円)の小さな美術館入り口には、「入館希望者は係員を呼び鈴で呼ぶように」と書かれており、受付とされる場所には誰も居なかった。
この東さんという方は、中国から日本に帰化され、現在、この道の駅、兼学校、兼美術館のオーナーとなっておられ、新潟の名士であるらしい。
「産経ニュース」(2014年4月6日付)によると
「この施設はもともと、JA佐渡と佐渡汽船グループが設立した「佐渡能楽の里」が運営していたが、観光客の減少で経営不振となり解散。絵画教室などを運営する学校法人新潟国際芸術学院(東富有理事長、新潟市中央区)が、建物部分(延べ床面積約3600平方メートル)を1円で購入した。同学院は土地もJA佐渡から無償で借り受け、23年6月から研修施設として利用している。」
としている。
つまり、経営不振に陥った道の駅が中国資本の学校に1円で売却され、リニューアルされたということか。
しかし、現在でも道の駅の看板は降ろしてはおらず、佐渡市公式観光情報サイト「佐渡観光ナビ」にも、2018年7月更新記事として、以下のような内容でしっかりと案内がなされている。
「美しい佐渡の自然を国内外へ発信する場と、来場者の安らぐ空間を目指して「美術館道の駅」として運営している全国でも珍しい道の駅です。駅内全体が芸術で彩られ、1階・2階の国際美術館には、佐渡を題材とした水彩風景画が数多く展示されています。アートトイレやお庭アート、至る所に美術品が置かれ、多くの発見と感動に出会えるでしょう。また水彩画体験もあり、ゆったりとした和やかな雰囲気で休憩できます。」
この記事の掲載写真からすると、たった3ヶ月しか経っていない。
まるで自分が浦島太郎にでもなってしまったのではないか、と錯覚するほどの変貌ぶりだ。
もし、ここに車を停めるとすれば、実際にはトイレを利用するくらいしかできないだろう。
道の駅には、通常施設運営にあたる費用として、国からも相当の補助金が拠出されているはず。
国の認可が必要な施設だけに、この現状は いささか気になるところである。
世界遺産登録を目指すという観光都市としては、いかがなものか。
さて、時は既に12時を過ぎていたので、食事をするため佐和田地区方面へと車を走らせる。偶然見つけた庶民的なレストランも堂々たる観光地価格。多少お高めの醤油ラーメンをすすり、さらに市の中心地相川地区方面へと向かうことに。
ここから中山峠を越えると、佐渡金山がある相川地区になる。海岸近くで公園マークを見つけ、すぐに広い駐車スペースが現れたので入ろうとしたら、そこは給食センターだった。
その隣に相川公園があり、トイレと子供の遊び場を設けた、結構広い駐車場になっていた。Yの体調が、まだ今ひとつなので、ここでしばし休憩を取ることにする。
夕方になり、近くで夕食がとれるところを探す。相川の古い商店街と思われる細い路地を走るが、ネット上では見受けられた食堂のようなところは、夕食時だというのに、ほとんどが開いていない。シーズンオフということか。
仕方なく、ローソン佐渡相川店で買い出しして夕食をとり、そのまま駐車場に宿泊させていただくことにする。
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