1月17日 沖縄のお風呂事情 〜タトゥがOKな温泉施設


最近、よくお世話になっている温泉がある。

街中の国道沿いにあり、平日は9:00~17:00迄が入浴料620円(バスタオル、シャンプー等込)の格安料金という天然温泉だ。

以前も、このブログで触れたが、沖縄には温泉施設や銭湯がほとんどなく、あったとしてもリゾート施設の高級スパ的なものが大半で、一人1500円〜2500円ほどの出費を覚悟しなければならない。

夏であれば海水浴場にある水のシャワーで充分なのかもしれないが、冬の沖縄ではそうもいかない。

北部の道の駅「ぎのざ」には、お湯の出るコインシャワーが用意されていたりするが、他のエリアではネットカフェのシャワーを利用させて頂くくらいしか他に手立てはない。

そういうわけで、南部、中部に滞在中の我々にとって、この温泉施設はどれだけ有難いことか。

この施設はレジャー施設ではないので、洗い場は個々のスペースがしっかり区切られ、広々とした空間でゆったりと体を洗うことが出来るものの、湯船は比較的狭め。 

日中の温泉施設でよく見られる、地元のお年寄りが湯船の縁に腰掛け、雑談を交わしながら憩うという光景が、当然ながら繰り広げられているが、そうなると、もう入浴どころではない。

8人も浸かれば窮屈な感じなのに、その淵に5、6人が腰掛けているとすると、流れ者の身では、とてもとても、その中に分け入って入浴するなどということは不可能に近い。

それでも、湯船のフチコさんと化していたお年寄りの集団も、こぞってサウナに移動するいう絶好のチャンスも訪れるので、その隙を見計らって一気になだれ込む。

こうして、中高年や若者にも、なんとか湯船にゆったりと浸かることのできる至福の時が訪れるのである。

しかし、この極楽タイム、時として恐ろしい光景を目の当たりにしてしまうことも。

先日は、目を閉じてゆったりと温泉に浸かっていると、目の前の水風呂で「アー、アチィ‼︎」と声が響いたと同時に、バシャ‼︎と水しぶきが上がり、「キャッ‼︎」というか細い声が聞こえてきて、ハッとして目を凝らしてみた。

大きい声の主は、サウナから出てきたばかりらしく、全身真っ赤に火照ったご年配の女性。

見ると、そのご年配が水風呂の中で足をバシャバシャさせながらストレッチの真っ最中であった。

小さく声を上げたご婦人は、隅に移動して迷惑そうに顔をしかめている。

しばらくは水しぶきを避けるように水の中で小さくなっていたが、ついに諦めて退散されてしまった。

水風呂を独り占めできたご年配は、悠々と足でバシャバシャと水音を立ててご満悦なご様子。

なんとも、壮絶な光景を垣間見てしまい、湯船に浸かりながらも、背筋が冷える思いがした。


そういえば、初めてこの温泉を利用した時も、ハッとする出来事があった。

全身を洗い浄めた後、ふと見ると湯船に空きスペースがあったので、そっとそこに体を潜り込ませると、前方から鋭い視線が向けられていることに気付く。

よくよく見ると、その視線の主は、リゾート地によくある純白のプラスチック製のアームチェアに、エマニエル夫人のような姿勢で腰掛けている。

いや、エマニエル夫人ではない。

椅子の上で胡座をかき、湯船の真正面にある椅子の上に鎮座し、湯船に浸かる面々を見下ろし、睨みを利かせていらっしゃる。

足元は、胡座をかいていらっしゃるので、観音開きの御開脚状態。

しかし、肩から長めのタオルをヤザワのようにかけているせいか、迫力こそあれど、体は適度に覆い隠され、シルエットは美しく、決して見苦しくはない。

こ、ここはもしかして、座敷牢? すると、この方は牢名主様? 

一緒に入浴中の面々は、目線を合わせぬよう注意しながら、静かに出入りしているような様子。

何か特別なしきたりでもあったのだろうか……。

真相は、未だ、定かではない。


生まれて初めて見る光景に、圧倒されまくりのデビューであった。


車に戻ってから、この温泉についてネットで検索をかけると、ここは沖縄でも有数の「入れ墨OK」の温泉施設であることがわかった。

なるほど、ここにいらっしゃるご年配の方々は、どこか気合の入った方が多いわけである。


私は、シャワー中心で体を潔め、ひたすらご年配の方々のご利用される隙間を見計らって、さっと温まって、さっと消え去るのみである。(K)




キャンピングカーで日本一周

キャンピングカーで日本一周の旅に出ています。夫婦二人、各地の歴史や文化、暮らし方を学びながら旅しています。

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