9月25日 村田町→仙台市秋保(芋煮会でイモニケーション)→村田町(45km)

朝から雨だ。今日は芋煮会デビューの日。残念な天気となってしまったが、会場は屋根があるので大丈夫。Kの友人 仙台市在住のM姉さんが、仙台市郊外にある「秋保森林スポーツ公園」の芋煮会施設を予約してくれている。

近くのコンビニで飲み物や菓子類を調達し、いざ秋保へ。途中、川崎町支倉というところを通るが、ここは「慶長遣欧使節」有名な支倉常長の故郷だ。

会場は、道の駅「村田」から30分ほど山の方に走った宮城県有数の温泉地・秋保温泉のあるエリア。所どころに立派なホテルがそびえ立っている。

土砂降りの雨の中、細い坂道を上っていくと、巨大なスポーツ公園が姿を現した。ここには芋煮会施設の他にも、テニス場、乗馬、トランポリン、プール、温泉、キャンプ場等など様々な施設があるという。

しかし、この雨のせいか駐車場の車はまばらであった。

先に到着していたMさんと再会を喜ぶも束の間、さっそく火起こしを開始する。

資材と材料は準備されているので、火が点いたところで、すぐに煮始めることに。

前もって、Yがノリノリで調べた「芋煮会」の風習についての情報をまとめておく。

芋煮会とは、青森県を除いて東北地方で広く見られる秋の風物詩であり、特に山形県と宮城県で盛んに行われる。その名の通り、材料はまず里芋が入り、それに山形なら牛肉、宮城なら豚肉が加わる。その他野菜やこんにゃく、豆腐などを大鍋で煮て食べるのだが、野外で大勢でワイワイ楽しむのが特徴だ。


芋煮会が行われる地方や時期については、保存において寒さに弱い里芋の性質が関係している。以前は、青森県は里芋の栽培北限より北にあり栽培されず、芋煮会の習慣が生まれなかった。


青森より南の東北地方では、里芋は栽培されたが冬季保存が難しかったので、秋の収穫から冬に入る前に里芋を消費しなければならず、大勢で鍋を囲む芋煮会が生まれた。そして、それより南の地方だと、里芋の保存が容易だったので、芋煮会で里芋を一気に消費する必要がなかった。


従来、東北地方での里芋の収穫時期は10月以降であり、9月下旬に行われる有名な山形の芋煮会では、関東産の里芋を用いていたが、最近では品種改良で収穫時期が早まり、地元の里芋を使えるようになっているらしい。

そういえば、酒田市内のスーパーマーケット(ヤマザワ)に行ったとき、レジの隣に芋煮会用の鍋一式が置かれていて、来店客に無料で貸し出していた。太っ腹というか、東北らしい珍いサービスだと感心した覚えがある。



今回の芋煮会コースは「宮城風」ということで、豚肉・味噌味。基本は豚汁のようだが、里芋のねっとり感が格別だ。日本酒が飲みたくなるが、ハンドルを握る手前、そうもいかない。


別のテーブルには我々より一足早く宴席を催していた7人のグループがいたが、さすが地元代表のMさん。まるで御近所の顔見知りかと思うくらいに、あっという間にグループと打ち解けてイモニケーションを開始。

そのうちの一人の女性が、「この雨の中、2組しか来ていないんだから〜」と言って、おかずのお裾分けをしてくれた。

こちらもおやつなどで応戦、じゃなくて、お返し。

さすがにMさん、現地人だけあってイモニケーション能力は高い。


降り続く雨の中、烏龍茶で乾杯しながら楽しく歓談していると、地元仙台にあるTBCラジオ(東北放送)のキャスターと名乗る女性が現れ、インタビューさせてくれないか、との話。
「ラジオな気分」という午後1時から始まる生放送だそう。
この女性は東北放送のキャスター 林朝子さん

番組開始直後、林さんの現場リポートから始まり、我々はスタジオのパーソナリティから直接インタビューを受けるというが、時計を見ると、あと15分ほどで放送である。

まあ、「この雨模様の寒空の下、県外からわざわざ来て芋煮会をしている物好きもいる」ということで、番組的にはいいのかなあ、などと思いつつインタビューを承諾。

素人なので大したことを話せないとはいえ、イヤホンから聞こえるスタジオのパーソナリティーからの質問を聴きながら、「落ち着いた様子」で答えるというのは、やはり緊張する。

東京でバリバリのキャリアウーマン、営業もこなして来たというMさんだけは、さすがに落ちついた対応を見せる。
直前までメールで友人に番組出演の連絡をし、しっかり芋煮もおかわりして収録にのぞむ。

なんとか無難(多分)にインタビューを終えた我々3人は、そろそろ締めのうどんを鍋に入れようかと思っていると、林キャスターが再び御登場。

なんでも、1時半にもう一組のグループにインタビューを予定していたが帰ってしまったので、再度インタビューさせてくれないか、との話。さきほど我々がキャンピングカーで日本一周中と話したので、ちょっと面白いと思ったのだろう。

ライブで番組を作るというのは大変だなあ、と思いつつ、こちらもうどんで締めている場合ではなくなり、ソワソワし始める。アルコールでも入っていればリラックスできるのだろうが。

なんだかんだでプロの掌で転がされるように、話はまるで世間話でもしているかのごとくつつがなく流れ、時間ピッタリに林キャスターの締めの文句も決まり、2度目のインタビューも何とか無事⁈に終わる。

このあと3時には、別の現場に着かなければならないということで、番組制作班の方達は慌ただしく会場を後にしていった。

なお、番組はネットで試聴も可能だそう。 ITスキルが今ひとつの我々には、特別に収録部分をメールで下さる事に。おまけに番組のfacebookでブログまでご紹介して頂けるという。

記念品のファイルまで頂き、ご機嫌な芋煮会となりました。

TBCラジオさん、芋煮会、秋保森林スポーツ公園、土砂降りの雨、そして立役者の蓑輪姉さん。いい思い出をありがとうございました😊

興奮冷めやらぬ中、一同奔流の芋煮会行事に戻り、鍋の残りをうどんで締めた後、キャンピングカーで熱々のドリップコーヒーを入れ、しばしお茶をしばいたあと、再会を約束してM姉さんとお別れ。

今日は悪天候が吉となるという、予想外の展開となったイモニケーション日和の一日であった。


キャンピングカーで日本一周

キャンピングカーで日本一周の旅に出ています。夫婦二人、各地の歴史や文化、暮らし方を学びながら旅しています。

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